京都は嵯峨野の大覚寺で、人生初の写経体験をしてきました。
一度はやってみたかった般若心経の写経。それはきっとたいそうなものだと身構えて行ったのですが、あまりにも簡単で、わずか10分ほどで願いことも添えた写経を奉納することができました。
ここでは、その写経入門とでも言うべき、誰にでも簡単・手軽にできる大覚寺の写経について紹介します。
もちろん、大覚寺では本格的な般若心経全文のフル写経を行うこともできます。大覚寺訪問の際の、時間的な余裕にあわせてチョイスされてはどうでしょうか。
ではスタートです。
写経には2種類ある
大覚寺で行うことのできる写経には、以下の2種類があります。
- 般若心経全文写経
- ギャティ写経
今回、私が行ったのは2項のギャティ写経の方です。
1項は、その名の通り般若心経全文(本文だけで266文字+アルファ)を写経するものです。
それに対してギャティ写経は般若心経の最後の部分、わずか22文字だけを写経するものです。
具体的には、245文字目から最終までの4節・22文字で、写経する文字は以下となります。
羯諦羯諦
波羅羯諦
波羅僧羯諦
菩提薩婆訶
般若心経
この中で4度出て来る言葉が「羯諦」ですが、これがサンスクリット語では「ギャティ」と発音するんですね。ここからギャティ写経と呼ばれています。
この22文字の意味は、思いっきり簡単に言うと、
「みんなで一緒に仏様の世界にきましたよ。幸ありますように!」
という意味なんだそうです。
大覚寺のお坊さんの説明によると、ギャティ写経は般若心経のエッセンスとして最後を飾っている部分で、この部分だけの写経でも心を込めて書けば、ちゃんとご利益を授かることができるとのことです。
簡単に写経を体験したいあなたには、まさにピッタリのサービスですね^^
では、具体的な手順については次の章で説明しますね。
写経の手順
まずは大覚寺の拝観料金(大人500円・小中高生300円)を払い、境内に入ります。
私は「玄関門」という門から入りました。
門をくぐって、右手方向に「五大堂」という大覚寺の本堂があります。
下は、大覚寺でいただいた地図の写真です。この地図の【4】番のところです。
ご参考までに、他の番号のところの建物は以下となっています。
この五大堂で、写経の申込みをします。
写経の受付時間は、以下です。
9時から15時半まで
申込みは、いたって簡単です。
予約は不要
*ただし10人以上の団体の場合は要予約
紙や筆も不要
写経の奉納料は以下です。
■全文写経
1,000円
■ギャティ写経
500円
所要時間の目安は以下です。
■全文写経
50分~60分
■ギャティ写経
10分~15分
申込みを完了すれば、係の人の指示に従って写経を開始できます。
写経の要領
写経の書き方は、拍子抜けするほど簡単です。
専用の写経用紙、文鎮(ぶんちん)、筆ペンが準備されています。
写経用紙には、最初から書くべき文字がうっすらと印刷されています。
これをなぞって書くだけです!
こんなに簡単でいいのだろうか・・・? と、不安になるほど簡単です。
写経部分が終われば、「願」の部分に願い事を書きます。好きなことを好きなように書いてオーケーです。
私は「家族健康」と書きました。
その後、住所、氏名、日付を書いて写経は終了です。
私は全部書き終えるのに、10分もかかりませんでした。
他の人が書いているのを観察してみると、2種類の方がおられることがわかりました。
几帳面な方
下書き部分を忠実にトレースしてきれいな文字を書く
大雑把な方
書くべき文字だけ見て、あとは自分の字で書く
私はもちろん後者の方で、サラサラっと書きましたよ^^
書き終わった写経は、すべて大覚寺の奉納します。持って帰ることはできません。
でも写真撮影はオーケーですので、記念にパチリと撮っておきましょう。
奉納は五大堂に収めますが、本殿に参拝するかたちで行います。これも係の方から指示していただけます。
奉納が終われば、すべてが完了です。
簡単なギャティ写経といえども、とてもすがすがしい気持ちで参拝を終えることができました。
実は大覚寺は、般若心経の写経の総本山なんですね。だから、ご利益が多いような気がしています。
その豆知識については、次の章で簡単に紹介しますね。
般若心経写経の由来
今から約1,200年ほど前の平安時代、西暦にすると818年のことです。
我が国でとんでもない疫病がはやり、多くの国民が次々と生命を落とていくという事態が発生しました。
この事を深刻に憂いた当時の天皇(嵯峨天皇)が、弘法大師(空海ですね)に相談をされたそうです。
弘法大師いわく、般若心経を心を込めて書き写し、それを大覚寺の五大明王(五大堂に祀られています)に奉納するといいよと。
嵯峨天皇は、早速これを実行にうつしました。
写経を奉納するとともに五大明王に全身全霊をささげて平癒の祈願をされたところ、たちまちのうちに疫病が治まったとのことです。
これが、「大覚寺は写経の根本道場」といわれる由縁なのです。
この時、嵯峨天皇が書かれた写経は、紺色の和紙に黄金色に輝く金泥文字で書かれたそうです。
この原本は今でも、勅封心経殿(ちょくふうしんぎょうでん)というところに保存されています。
こんな建物でした。
この勅封心経殿は、60年に一度、歴代の天皇によって開けられ、天下泰平を祈ることが慣例となっているそうです。
すごいですね、大覚寺や写経の歴史。
2018年は、嵯峨天皇が写経されてからちょうど1,200年の節目の年となります。
2015年は、弘法大師が高野山を開かれてから1,200年の年で、特別法要が多く営まれました。
写経が始まったのも、ほぼ同じ時代だったんですね。
大覚寺と高野山をセットで訪れれば、真言宗や般若心経の由来を始め、日本の文化・歴史の広くを学ぶことができます。
私はどちらも行きました。関西に住んでいる方にはおすすめのセットコースです。
高野山も大覚寺も、国宝や重要文化財を多く維持されており、これらを一見するだけも価値があります。
お時間が許せば、ぜひ大覚寺の霊宝館もご覧になられると良いでしょう。
大覚寺へのアクセス
私は団体観光バスで行ったのですが、大覚寺でいただいたパンフレットに、分かりやすい地図が付いていたので、その写真を掲載しておきます。
写真をクリック(タップ)すれば別ページで開きます。
戻る時は、ブラウザーの戻るポタン(<)で戻ってください。
さいごに
不惑の年を迎えた頃からでしょうか。
「日本人に生まれたからには、毛筆で美しい漢字を書けるようになりたいものだなぁ」と思うようになってきました。
そのためには「まず苦手な漢字の勉強から始めよう」ということで、漢検2級に挑戦。この第一段階はなんとかクリアしました。
漢字というものは、正しい筆順を知らないと、きれいに崩せないんですよね。
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漢検勉強法の極意を伝授!2級は誰でも取れるぞ!
次に、毛筆セットを買い求めました。
漆(うるし)塗りの箱に、土佐の硯(すずり)や南松苑の炭の入った本格的なものです。
でも、、、
ここで進化は止まりました!
毛筆セットは、本棚の肥やしになってしまってます。
毎年、年賀状の季節を迎えるたびに「今年こそ毛筆で書きたいものだ」と、一応は思います。
しかし実際は毛筆どころか、年内に年賀状を書くことすらおぼつかないような状態がずっと続いているんですね。
忙しい、という便利な言い訳のもとに^^;
今回は、たまたま所属しているクラブの団体旅行で写経ができる機会を得て、それこそ喜び勇んで参加してきました。
内容的には、上で紹介してきたように「体験版」の域を出ないものでしたが、心情的には「やる気」スイッチが入った良い体験となりました。
般若心経の写経には、心を無にしてひたすらに仏心に近づくことによって得られる功徳があるそうです。あくまでこちらが主ですね。
そして副次的に、毛筆にも慣れて上達する。こちらを先に考えた私は、いささか不届き者ですが。
今回のギャティ写経をした体験を機に、この写経という素晴らしい文化を自分でも極めていきたいと思っている次第です。
最後になりますが、ネットで調べてみると、専用の写経用紙や写経セットがたくさん販売されていることにびっくりしました。
まずは手軽ななぞり書き(ギャティも全文もありました)から初めてみる決意をした次第です。
さて、いつまで続くことやら。。。
頑張ります!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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こんばんは、いいですね~ サーリープッタの世界 いたか/いないかは不明ですがもう孫悟空ですね。私も22文字で十分と思います。前項は序章と言うか、解説文と思います。必要ないという意味でなく、更に奥深いものになることは、間違いありませんが‥ 「なあ‥ 舎利子よ‥ 色即是空」たまりませんね。
22文字は、結論と聞いています。ギャーティ(ガッティ)ギャーテイ ハーラーギャーティ ハラソーギャーティ ボージソワーカー ハンニャーシンギョー
それにしても、翻訳した玄奘さまは、すごいですね。
家族健康の他にケーターハムも書いてくれば良かったのに、ブツ仏‥
リキマルさん、こんにちは。
うわー、リキマルさんは般若心経にもお詳しいんですね。
私はこの年になって始めて写経なるものをやってみたのですが、先人の知恵の片鱗に触れることができたようで、とても清々しい気持ちになれました。
>家族健康の他にケーターハムも書いてくれば良かったのに、ブツ仏‥
→あはは。生々しいブツ欲は、しばし忘れてました^^