自転車のディスクブレーキは、なにかとメンテナンスが必要なパーツですが、今回はローターの交換を行いました。
ローターと言うのは、ホイールと一緒に回転するあの円盤のことですね。この部分は消耗品で交換が必要なことをご存知だったでしょうか?
現在の愛車(マウンテンバイク)を手に入れて早5年。冬場にしか乗らないことを言い訳に、このローター交換メンテナンスをサボり続けていたのですが、さすがにローターがペラペラになってきたので交換作業を実施しました。
特に難しいということはないメンテナンスですが、途中で思わぬハプニングもありましたので、そのあたりの顛末も含めてレポートしておきます。
準備しておくこと
下準備としては、適正な純正パーツのローターと、交換に必要な専用工具を準備しておくことです(後述しますが私はここで大失敗をやらかしました^^;)。
私の自転車には、シマノ製デオーレXTというコンポが付いていますので、まずはローターの調達です。
自転車は2012年に購入したので、2012年度版のシマノのカタログで調べてみました。
するとSM-RT81というパーツが出てきました。
ところがよーく見比べてみると、私の自転車に付いているローターとは微妙に周囲に開いている小さなホールの形状が違うんですね。
同じ径、同じ取り付け方式なので互換性はありそうですが、ここは慎重にドンピシャ同じローターを選ぶことが大事です。
これがトラブル回避の基本ですね。
で、2011年のカタログで調べてみるとありました。
完成車の2012年モデルには、2011年製のパーツが付いていたんですね。
ブレーキコンポーネントはBR-M775シリーズがセットされており、これのローターの品番は「SM-RT79」でした。
似た品番でも径の違うものもありますので、くれぐれも慎重に同じものを選ぶようにしましょう。
もうひとつ必要なものは、専用工具となるロックリング抜き工具です。
これは以前の自転車の時に購入していて(品番:TL-HG15)、それがそのまま使えそうなので、今回は新たに揃えること無く作業にかかりました。
ということで、必要パーツ(ローター2枚)と、
必要工具が揃いました。
写真上は作業用保護手袋です。手をローターで怪我しないようにすることと、汚れ防止のために着用します。
今回はさらに作業に精度を出したり記録を残したりするために、トルクレンチとマイクロゲージも準備しておきました。
さてこれですべての準備ができたので、意気揚々と作業を始めました。この後、とんでもなく苦労するとは知らずに(笑)
交換作業
まずはローターを開梱して内容を確認します。
センターロックリングも新品が付いてますね^^
次に取扱説明書を注意深く読みます。
私のローターは、センターロックタイプの一番交換が簡単なタイプです。
ふむふむ、楽勝だな。
フロントホイール
まずは簡単なフロントホイールからスタートです。
ロックリング抜き工具をかけて、この工具が落ちないようにクイックシャフトで軽く固定します。
これはカセットスプロケットを抜くときにもよく使うテクニックですね。
スパナをかけて左に回し、センターロックリングを抜き取ります。
いとも簡単に外れました。
後は新しいローターとロックリングに交換するだけです。
取説書によると締め付けトルクは40N・m(400kgf・cm)とのことですので、この値をトルクレンチにセットします。
このトルクで締め付けます。
40N・mという力はかなり大きな力で「まだか、まだか?」といった感じでグイグイと力をかけていきます。
「これ以上はしんどいかも?」と思った瞬間にカチッと音がしてくれました。ふう~。
ということで、ほんとうにあっという間に交換ができました\(^o^)/
後輪も同じ要領でやれば簡単・・・なはずだったのですが。
リアホイール
さてここでトラブルに見舞われました。
センターロックリングを抜こうと工具をかぶせると、アワワ!工具のツメがロックリングにとどかないではありませんか!
ハブのロックナットの背が高くて、工具の中でつっかえるんですね。
このナットを抜きたいのですが、ロックリングが邪魔してハブシャフト側にハブスパナもかけることができません。
仕方なくスプロケット側のナットを固定してローター側のナットを回してみることにしたのですが、これがまたスプロケットの背が高くてスパナがかかりません。
ついにはカセットスプロケットも外すはめに(汗)
ところがスプロケットを外したあとにも、ローター側のナットは緩みません。
緩んだのはフリー側です(滝汗)
これで万事休す。やっぱり間に合わせの工具ではダメだったんですね。
致し方なく専用工具(品番:TL-LR15)をamazonに発注しました。
こんな感じの工具です(画像をクリックするとamazonのページにジャンプします)。
さて、翌日になりました。
私はamazonのプライム会員になってるんですが、前日午後3時に注文した商品が、なんと翌朝10時には配達されてきました。
いやはや便利な世の中になったものですが、宅配便のお兄さんはたいへんだな。。。
これからどれだけ荷物が増えるんだろうか??
荷物を開けてみると、こんな感じのパッケージ。
ツメの径やピッチは同じなんですが、深さが全然違うんですね。
センターに、落下防止用のピンも付いてて、はるかに便利な工具となっています。
「最初からこれを買えよ!」という心の声が、頭の中にひびきわたりました。
この真の専用工具を使うと、何の悩みもなくロックリングに噛み込みます。あたりまえですが。
ニセ工具(笑)と同じ24mmのスパナをかけて、
一発で交換できました。
工具を開封してから交換が終わるまで、わずかに5分!
昨日もがいた1時間は何だったんだろう。
正しい工具を揃えることの重要性を痛感したできごとでした^^;
交換における注意点
まず大事なことは、ローターの厚み管理です。
シマノによると、ローターの厚さが1.5mm以下となった場合は、ただちに使用を中止し交換せよとのことです。
外したローターの厚みを測ってみました。
フロントホイール側は、平均すると1.28mmといったところでしょうか。
横から見ても摩耗して段差ができているのがわかります。
ちなみに新品のローターの厚みは、1.75mmでした。
メタルパッドを多用していたリアホイール側はさらに摩耗が激しく、1.2mmもない状態です。
新品の時の2/3くらいになっちゃってたんですね^^;
いやー、割れなくて良かったです。
2点めの注意点としては、ディスクブレーキに関してはパーツ交換後に「慣らし運転」が必要だということです。
パッドやローターは、面の当たりがついて始めて本来の制動力を発揮します。それまでは100%の制動力は発揮されません。
交換直後のライディング時には、じゅうぶんに安全が確保できている速度で、制動力を確認するようにしましょう。
さいごに
車にもディスクブレーキが当たり前のように装着されていますが、ローターの交換に関してはあまり縁がないのではないでしょうか?
車のライフタイムで使えてしまうことも珍しくありません。実はそれは、国産車のローターが耐久性重視でそのような硬い設計をされているからです。
平均走行速度の高い欧州車に関しては、柔らかいローターを使う事によって高速からの制動性を高める設計がなされています。
ローターが常に削り取られているので、ホイールがブレーキダストで茶色く汚れるんですね。
だからローターは、普通に車検などで交換されるんです。
さて自転車の場合ですが、高い制動力とコントロール性能をあわせ持つディスクブレーキだけに、メンテナンスに関しては欧州車的発想でのぞまなくてはなりません。
軽量化が追求されているだけに、わずかな摩耗も命取りになりかねません。
常にパーツを最良の状態にして、本来の性能と強度を確保しておくべきところです。
ブレーキパッドにしても、ブレーキオイルにしても、ローターにしても、目視の確認がやりにくいパーツなんですよね。
キャリパーブレーキのブレーキシューのように、摩耗状態がひと目で分かるということがありません。
だからこそ、消耗品については細心の注意をはらってメンテナンスを実施しなくてはならないことをしっかり頭に入れておきましょう。
今回私もローターを限界以上に使ってしまってましたが、これではいけませんね^^;
お財布にはこたえますが、早め早めの交換で、安全で快適なディスクブレーキライフを楽しみたいものです。
本記事がお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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こんばんは、いよいよ交換しましたね。高級車は交換が楽なんですね‥ 多分油圧かと‥
私のは4台ともローターはネジ止めです。(ネジロック付きネジが添付)私なんか残1mm位まで使っちゃいました。しかも前輪は、まだ残りが多かったので後ろのみ交換(購入は2枚で買いましたけど)
400kgf/センチは、30センチ位のアームレンチが欲しいですね。そこへ約14~15キロの力を入れる事になりますね。トルクレンチもあって完璧です。私はまだ、勘レンチです。
マイクロメーターも、アナログです。
リキマルさん、こんにちは。
コメントいただき、ありがとうございます。
いよいよと言うか、やっと交換しました。
今回はいろいろとトラブルに見舞われて、それなりに楽しめました。
>残1mm位まで使っちゃいました。
→車のローターは、エッジの研磨さえ行えば、厚みが1/2以下になっても使えてました。パッドは新品にしておかないとダメでしたが。
自転車のローターの、物理的使用限界厚みって、どれくらいなんでしょうね。
後輪だけ元のローターに戻して、限界にチャレンジしてみようかな^^;
こんばんは、使用限界は分かりませんが 1mmぐらいになると流石に頼りない感じがします。また平面が出ていませんので、新しいパットにする気がしませんね。
それから、鳴きが多いような気がします。ここまでくるとパットの限界まで使いたくなります。ブレーキが甘くなり、変な音が出れば ディスクとパット同時交換のチャンスではないでしょうか。或いは、一度使ったパットを再選別して取付、とどめを刺すのはどうでしょうか
リキマルさん、こんにちは。
>また平面が出ていませんので、新しいパットにする気がしませんね。
→ですね。私のリアのローターも、表面はギスギスに傷がついてます。
こうなるとパッドとの接触面積にも影響が出てくるし、偏摩耗が偏摩耗を呼ぶので、やっぱり交換が一番ですね。
>一度使ったパットを再選別して取付、とどめを刺すのはどうでしょうか
→あはは。面白い案ですね。
ところが私が使用のシマノ製キャリパーに関しては、一定以上薄くなったパッドはリテーナーがローターに干渉することにより、それ以上使えなくなっています。
よく考えられてますよ。
ディスクブレーキは友人のMTBを借りたときくらいの経験しかないので(しかもメカニカルの方)なかなか実感がわかないのですが、お世話になってはショップの店長いわく「一度乗るとリムブレーキには戻れないよぉ〜」とさんざん聞かされてまして、ずっと興味津々でした。
彩さんのおかげでメンテも臆することなくやれそうなので(^。^)、次はディスクにしたいと思ってます。
ところで私、フロントディレーラーの調整が今ひとつ苦手でして、いつかその辺も取り上げていただければ有り難く存じます(もし既出でしたらご容赦願います)。
yoshimotoya120さん、こんにちは。
お久しぶりです。
>「一度乗るとリムブレーキには戻れないよぉ〜」
→いやー、まったく同感です。ぜひこの世界に足を突っ込んでください(笑)
>ところで私、フロントディレーラーの調整が今ひとつ苦手でして、いつかその辺も取り上げていただければ有り難く存じます(もし既出でしたらご容赦願います)。
→承知しました。他の方からもリクエストをいただいているテーマです。
フロント側はあまり裏技的なものがないのですが、今、流行っているオーバルギアなども視野に入れてまとめてみたいと思います。
いつになるか分からないのですが^^;
やはりディスクブレーキ、底なし沼っぽいですね(^c^)”
実は、昔乗っていた片倉シルクの感触が忘れられず&エロイカに参加したいという野望が組み合わさって、次のフレームはクロモリにしようと腹を決めてはいるんですが、それにディスクを組み合わせるとなるとヴィンテージものは諦めざるをえなくなるし…と非常に悩ましい(けど楽しくもある)という状態です。
FD調整、楽しみです。気長におまちしておりますm(..)m
yoshimotoya120さん、こんにちは。
ほう!片倉シルクにお乗りだったんですね。今から思うと、クロモリ以外では存在し得ないような名車でしたね。
>次のフレームはクロモリにしようと腹を決めてはいるんですが、それにディスクを組み合わせるとなるとヴィンテージものは諦めざるをえなくなるし…
→確かにこの悩みはつきものですね。
キャリパー台座もクロモリならロウ付けで付けることになると思います。あの細くて繊細なシートステイにガンガン熱をかけて、いかつい台座を乗せることにも勇気が必要になってきますね^^;
断行された場合は、写真を送ってください。本ブログで紹介させていただきます^^
クロモリだとビルダーにお願いすればブレーキマウントなどの細工は可能なんでしょうが、クロモリにするからにはフォークもあの細身のベンドにしたいですから(クロモリ+カーボンフォークは選択肢に無し)。
ブログネタ的においしい変態フレームにも未練はあるんですが、現実的にはディスクブレーキにするなら切り分けて考えないとないんでしょうねぇ(ToT)
もっともクロモリフレームも、エロイカ対策のビンテージもの(シルクのフレーム+サンツアーの国産で攻めたい!)と、現代的なコンポを乗っけたビルダーものとの2台持ちを妄想してるんですが… ハァ〜悩ましいσ^_^;
yoshimotoya120さん、こんにちは。
昨日、大阪のウエムラパーツに行ってきたのですが、クロモリ+ディスクのロードも登場していました!
キャリパーそのものも小型化してきており、違和感のない仕上がりになっていましたよ。
「今日の変態は、明日の普通」になりそうな雰囲気ですね^^;
>シルクのフレーム+サンツアーの国産で攻めたい!
→スギノのギヤリングやタンゲのヘッドセットに三ヶ島のトラップ、あ、サンデン12極のダイナモなどもお願いします(笑)
「今日の変態は明日の普通」けだし名言ですね!( ^ω^ )
あはは、そうですよね(*´∀`)
yoshimotoya120さんにおかれましては、天動説を唱えたアリストテレスに追従されますように(笑)
マイクロじゃなくてデジタルノギスで十分な気が。どうせ百分台の寸法を正しく測定する必要はないし、一般家庭じゃマイクロの校正も保管もできないですよ。
通りすがりさん、こんにちは。
コメントいただき、ありがとうございます。
貴重なご意見、ありがとうございました!