自転車(スポーツ車)初心者を脱出するための、ひとつの登竜門となっている、ビンディングペダルデビュー!
その外し方の上手い下手は、安全性に直結する重要な問題です。
ビンディングペダルは、自転車と、あなたの体のポテンシャルの両方を、フルに発揮させるための、有効なアイテムです。
それだけに、正しい取り扱い方法について、早い時点で知っておくと、安全で楽しいサイクルライフを、充実させることができるようになります。
ここでは、初心者の方はもちろん、ベテランライダーの方にも、学びそして習得していただきたい、ビンディングペダルの安全な外し方
について、わかりやすく解説します。
基本テクニック
先に、結論からいきます。
右足も左足も同じ頻度で外す
これが安全の第一歩です。
左右どちらも、得手不得手なく、同じ感覚で即座に外せるようにすること。
これが、まず第一に心がけなくてはならない基本テクニックです。
ビンディングペダルから足を外す時は、先に外す足が、左右で同じ頻度となるように、常に意識して外すように練習します。
理由は、大きくふたつのことがあげられます。
理由その1
危険のある側に、こけないようにする
右側であれ左側であれ、倒れると危ない方向に、すぐに足が出せるようにしておくのです。
私の見る範囲では、ほとんどの方が、どちらか一方の足を外すクセが、しみついてしまっています。
確率的には、
- 左足を外す人 → 80%
- 右足を外す人 → 20%
と言ったところでしょうか。
日本は、左側通行なので、信号待ちなどで停車する際は、左足を外して、歩道の縁石などに足をかけて停まることが多く、これが、左足優位の原因に、なっているのかもしれません。
しかし、考えてみてください。
ビンディングペダルから足が抜けずに、立ちごけしてしまう場合、右にこけると、左にこけるより、はるかに危ないのです。
そう、自転車からみて、それは車が走る車道側だからです。
運悪く、そこに車が走ってくると、重大な二次災害を引き起こす確率が上がってしまいます。
右足であれ、左足であれ、とっさの場合に、
必要な側の足を、瞬時に外せるようになっておく
ことは、立ちごけの防止はもちろん、何より安全のために必要なのです。
徹底的に練習して、体に覚え込ませるようにしましょう。
理由その2
クリート、ペダル、シューズへの負担を等分する
街乗りが多く、ちょこ停が多い方ほど、片側(外す側)の損耗が大きくなってしまいます。
例えば、通勤に1時間かかり、信号待ちが30回あるとすれば、右足を外すのは、最後の1回だけ。それに対して、左足は、31回も着脱を繰り返すことになるのです。
当然、頻度高く外す側の、クリートも摩耗しますし、ペダルも摩耗し、バネもへたります。
シューズも、常に片側だけが、大きな捻り力を受けるので、ヒールカップや、インソールなどが、へたりやすくなります。
さらに、足首など、体への負担も無視できない要素です。
自転車のペダリングの効率を良くしたい場合、重視すべきポイントは、左右のシンメトリー(対称性)が正しく取れていることです。
ある動作が、どこかの部位に偏ってしまうことは、極力避けなくてはなりません。
片足だけが、たくさん捻られることは良くないし、もう一方の足が、常に踏み出しを担うのも良くありません。
左右対称であることは、安全性だけでなく、パーツ類の長寿命化にも、一役かってくれ、さらに、体への負担も軽くしてくれるのです。
応用テクニック
次に応用テクニックです。
両足を同時に外せるようにする
これも、日頃から意識して練習し、体で覚えておきたいことです。
このテクニックが特に有効になるのは、(転倒しない程度の)急ブレーキをかけなくてはならなくなった時です。
急ブレーキ後は、停車後に車体の安定性が損なわれる可能性が高く、どちら側に重心がいくかが予想できません。
よって、急ブレーキ時は、
自転車が止まるまでに両足をフリーにしておくことが、
転倒という最悪の事態への、最大の防御となります。
練習方法としては、信号での停車などのタイミングを利用して、強めのブレーキングと、両足の解除とを、同時に行うようにします。
さらに、
- 右足が前の時に両足を外す練習
- 左足が前の時の両足を外す練習
を、何度も繰り返し練習しておきます。
パニックブレーキ時は、
- ハンドルをしっかり握り
- 足はペダルから抜かずに膝をしめ
- 身体を丸めた体勢をとって
そのまま転倒(または衝突)するようにします。
繰り返しになりますが、基本テクニックも、応用テクニックも、重要なことは、
体が覚えるまで、徹底的に反復練習する
ということです。
体が覚えていないと、いざという時に反応できません。意識して、何度も何度も、繰り返し練習するようにしてくださいね。
さいごに
私は自転車歴が長いので、これまで多くの初心者や女性の方に、ビンディングペダルの、扱い方や外し方を教えてきました。
彼らのその後をみていると、最初に、左右均等かつ左右同時の外し方を、正しく習得すると、まずもって、立ちごけをしなくなります。
片足だけを外すクセが付いた人は、少し慣れた頃に、必ずと言ってよいほど、あとから抜く足の側(苦手な側)に立ちごけしています。
一方、ベテランライダーでも、片側に偏ったクセがある人は、油断したり、パニクったりすると、ポテンとスリップダウンすることがあります。
これも、ほぼ100%の確率で、外すのが苦手な足の側に倒れます。
自転車専門誌などを見ると、ビンディングペダルのデビューに関しては、
- 初心者用のペダルを選ぶであるとか、
- バネレートを低くするとかの記述ばかりで、
なぜか、左右均等説が見当たりません。
しかし、
左右均等法が安全性の向上につながることは、経験上まちがいありません。
あなたが初心者であれば、始めが肝心です。
これから始まるスポーツサイクルライフを、より安全なものとするため、二刀流(二足流(*^^)v)遣いになってください。
もしあなたが、左足外し派であるならば、今日から右足も鍛えましょう。
始めは、車道側に右足をつくことに、抵抗があるかもしれませんが、日本の道路は、左下がりのこう配が付いているところが多いので、逆に右側は、足付き性が良いのです。
右にハンドルを切った状態で停まる時も、右足をついたほうがはるかに安全で、停まりやすいものです。
以上、自転車初心者の方に、ぜひ最初に、身に付けてほしいビンディングペダルの外し方について説明しました。
この記事が、あなたのお役に立つことを願っております。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
記事内容で、わかりにくところがあれば、この下の「コメント記入欄」よりお尋ねください。ご意見・ご感想も大歓迎です。お気軽にお寄せください。
また当ブログ管理人の好きな「のりもの」関係の記事は、トップページ最上段に目次ボタンがあります。よろしければ、そちらから他の記事もどうぞ!
この記事と関連の深いページはこちら
はじめまして、ロードバイク初心者です!
今週末にビンディングシューズデビューするので、色々検索していたらここに行きつきました。
この記事を読むまでは私も左だけで着脱する意識でしたが、覆されました!
おっしゃる通り、両方ではずせるに越したことはないですよね。
思わずコメントを残したくなったので残してみました。
ありがとうございました。
K。さん、こんにちは。
コメントいただき、ありがとうございます。
記事が参考になれば、とても嬉しいです^^
私も一番最初は左足派だったのですが、その後、修練を積んで(笑)、今では停止する場所の状況に応じて、より適切なほうの足のペダルを、無意識のうちに外せるようになりました。
何より、安全に通じるスキルだと思いますので、ぜひ、両足派になってください!
はじめまして。自転車を趣味に加えてから十年近くなりますが、万年初心者と呼ばれるべき怠け者です。が、両足均等に連結を外せるように訓練せよ、というお教えにはまことにまことに蒙を啓かれた思いです。目から鱗どころか魚が何匹も落ちて足元でびちびちと跳ねてます。これは意識して訓練せねば。
そうです、おっしゃるとおり、そのように教える本や記事って見たことがありません。素晴らしい。これのみならず、こちらのサイトはじつに有益有用なご教示が満載で、感謝と尊敬でおのずと頭が下がります。末永いご活動を祈念いたします。
しかし、ビンディングって何語なんでしょう? もとはスキー用語でしょうけど、英語ならバインディングだろうと思うんですが。長年の疑問であります。
ウツセミさん、こんにちは。
コメントをいただき、ありがとうございます。
過分なお褒めの言葉をいただき、たいへん恐縮に存じます(●^o^●)
独断と偏見に満ち溢れた、趣味視点で書き散らかしているブログですが、
記事が少しでもお役に立てれば、とても嬉しいです。
>ビンディングって何語なんでしょう?
そういうと、何語なんでしょうね?
Wikipediaで調べてみると、一発で分かりました。
英語のbinding(バインディング)と、独語のBindung(ビンドゥング)とからなる造語だそうで、
発祥の地はヨーロッパのスキー愛好国周辺のようです。
ではまた、よろしくお願いいたします!
重ねてのご教示ありがとうございます。
なるほどドイツ語かあ。でも大陸で英語と混ざる理由がわかりかねますが・・・。えーと、ビンドゥングがドイツ語圏で工夫された部品であるからドイツ語でさような名をまず与えられたト。それが日本に輸入されたとき、日本人は英語一辺倒だから英語なまりになった、トそういうことじゃないのかしら。あ、いやいや、つまらぬことにこだわってごめんなさい。忘れてください。(ついでに「アワード」(アウォードだと片仮名に変換されないんですね)について検索してみたら、久しぶりにネット特有の野放図な罵倒に遭遇して厭な気持になりました。どうでもいいことに拘泥するもんじゃありませんね。)
では、ますますのご多祥を祈りつつ。
ウツセミさん、こんにちは。
ビンディングも、和製外国語かもしれないですね。
日本語とアングロサクソン系言語では、発音体系があまりにも違うために、我々日本人は耳に聞こえたそれを、そのままカタカナにしてしまう時がママあるようです。
家の近くの神戸に「メリケン波止場」というのがありますが、あれは「American harbor」が語源だとか。
私も「ビンディング」は、その手の類であるような気がします^^
ネットでの情報発信は、相手の顔が見えないので野放図になりがちですが、本来はこのように情報を共有し、コミュニケーションを楽しめるツールですよね。
天文学的確率をクリアして、こうしてウツセミさんとご縁ができたことを嬉しく思います。
初めまして。先日、200㎞走行後左アキレス腱付近に痛みがあり、原因を探る中でこちらの記事にたどりつきました。思い当たる事多々あり、事後報告になりますが自分のツイッターにリンクを貼らせていただきました事、お許しいただけたら幸いです。
今後とも宜しくお願いいたします。
ロキさん、こんにちは。
コメントいただき、ありがとうございます。
記事が少しでも参考になれば幸いです。
>自分のツイッターにリンクを貼らせていただきました事、お許しいただけたら幸いです。
もちろんオーケーです。ありがとうございます。
当ブログはリンクフリーですので、これからもどうぞご自由にリンクされてください^^!
こんにちは。以前何度か質問させて頂いた経緯があります。その都度親切丁寧なご回答を戴いており感謝しています。先日伊吹山サイクルヒルクライムに出場して来ましたがその折、ショップテントで楕円スプロケットを見ました。大変興味を持っているのですが、彩さんの見解をお聞きしたいと思いメール致しました。メリット、デメリット、効果などお教えいただければ幸いです。宜しくお願いします。尚、私の使用バイクはジャイアントの2015年モデル、TCR 0 で、オリジナルのままです。
泉川さん、こんにちは。
お久しぶりです。
ヒルクライム、頑張っておられるんですね(^o^)/
伊吹山のヒルクライムは、私も何度か出場していますよ。
さてご質問の件です。
おお、楕円のチェーンリングですね。懐かしいです。一時期シマノを始め、多くのパーツメーカーがラインアップに加えていました。
しかし、現在は一部の専門的なメーカーが頑張っているだけで、大手からの製品は姿を消してしまいました。この結果が、この製品の評価を物語っているのではないでしょうか。
残念ながら、私は楕円チェーンリングを使ったことがありません。ですので、申し訳ありませんが適切なコメントができません。
ただ、誤解を恐れずに言えば、私は「クランクは踏むものではなく回すものである」と考えていますので、昔から楕円チェーンリングには食指が動きません。
色々と調べてみると、述べられているメリット・デメリットも様々で、評価は定まっていないようです。
私がみたサイトの中では、以下が納得性がありましたので、紹介させていただきます。
http://www.cyclowired.jp/microsite/node/155172
以上、ご参考になれば幸いです。
彩さん、ご意見いただき有難うございました。確かに楕円リングを使用している選手は見当たりませんでしたし、話題に挙がってこないと言う事と、バイクメーカーのラインナップにも挙がっていないと言う事が、彩さんの感想と合致していると思います。唯、私としては興味がありますのでもう少し検討を進めてみたいと思います。7月には岐阜側の乗鞍岳サイクルヒルクライムが開催されエントリーしています。昨年は抜群の天気に恵まれ、北アルプスの山々が絶景でした。登山に取り組んでいる私にはこの景色も見逃せません。今後ともよろしくお願いします。
泉川さん、こんにちは。
>私としては興味がありますのでもう少し検討を進めてみたいと思います。
はい、それがいいと思います。
楕円チェーンリングは、それを使う人の脚質によって大きな効果が発揮できるようですので、まずは一度使われてみるのがいいかと思います。
>7月には岐阜側の乗鞍岳サイクルヒルクライムが開催されエントリーしています。
うわー、いいですね。私もこのコースは数回走ってます。
ところが、エントリーして宿も取って出掛けていっても、雨や台風で大会がキャンセルになることが続き、モチベーションが下がってしまいました。
泉川さんは自宅が近いので、羨ましいです。また、あの景色がみたいです。
来年はまたエントリーしたくなってきました。その折は、覇を競いましょう^^
興味深く読ませていただきました。
両足均等に外せるようにとのご指摘は左足しか外さない私には耳が痛い指摘でした。
しかし、パニックブレーキなどに備えるためというのは納得できませんでした。
停車時以外の転倒などの私の経験から、手も足も離さず丸くなってそのまま転ぶのが最も安全という事です。
スピードが出ている時なども考慮すると、転ぶときはビンディングを外そうとせずそのまま転ぶことにより、肩以外の部分は自転車が最初に接地することになり最も安全です。
ビンディングを外して足を着くとチェーンリングで足を切ったり地面との衝撃で骨折したりします。
通常停車時の転倒とは別の話だと思います。
tanakasさん、こんにちは。
>通常停車時の転倒とは別の話だと思います。
→おっしゃるとおりですね。
私が「パニックブレーキ」という言葉の定義を間違っており、「急ブレーキ」に対する対策を書いてしまっていました。
急ブレーキとパニックブレーキを分けて考え、その方向で記事を修正・加筆しました。
貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございました!
還暦ローディーです。以前から左足着地にこだわる記事を見て疑問を感じていました。私は左右どちらでもいい、というか左右どちらでも外せなければ危ないだろ、という立場でしたので、この記事を読んで「同じ考えの方がいらっしゃる」と思いました。
左から外せ、という上から目線の記事には辟易していたところ、このブログに行き当たりとても感銘を受けました。これからもがんばってくださいませ。
ヨシダさん、こんにちは。
コメントいただき、ありがとうございます。
>私は左右どちらでもいい、というか左右どちらでも外せなければ危ないだろ、という立場でした
→ですよね!ですよね♪
ほとんどの人が左足都市伝説に翻弄されているようなので、すこし憤慨しつつこの記事を書いたんです。
同じ考えの人が増えると嬉しいです^^
これからも両足をしっかり地に付けたサイクルライフを楽しみましょうね。