ロードバイクでヒルクライムレースに出場したら、その後に控えている楽しいダウンヒル。
ところが必ずと言ってよいほど、事故はこの下りで起こりますよね?
日頃はあまり経験しないような大人数でのダウンヒルですから、ついつい速いライダーに惑わされて速度が出すぎたり、慣れないコースでブレーキのタイミングを見失ってコーナーに突入してしまったりすることが事故につながってしまいます。
そもそも下り坂とは怖いもの。
ここでは、その怖いロードバイクのダウンヒルを、より安全に走るためのコツを紹介していきます。このコツを練習してマスターすれば、集団ダウンヒルでの事故とも「さようなら」です。
内容は初心者の方に知っておいて欲しいことを中心に書いてますが、ベテランライダーの方におかれましても、テクニック向上のために再チェックしてみてください。
ところで、
クルマにドライブレコーダーを付けてから、自分のフォームを確認するのが楽になりました。今回の記事も、自分撮りした動画から画像をキャプッチャしました。
では、記事をどうぞ!
5つの練習ポイント
ここでは前提条件として、ヒルクライムレースのダウンヒルを安全に下るようなシーンを想定しています。決して速く下るためのテクニックの紹介ではありません。
それなりに傾斜がきつく距離も長い下りで、ペダルを踏まなくても、グングンと速度が上がっていくような下り坂ですね。
緩やかな下りをぺダリングしながら走るような場合は、それほど難しいことを考えなくても、サドル荷重の移動や、セルフステアだけでもスムースに曲がれるものですよね?
だからと言って、下りをなめてかかると怖い目にあいます。
以下の基本的なポイントを練習しておけば、より安全に下ることができるようになりますので、まずは緩い下り坂から練習を始めて、しっかりとコツをつかんでおきましょう。
以下の5つのポイントについて解説します。
- 後輪荷重
- ブレーキング
- 外脚荷重
- 頭の位置
- 肩の位置
1. 後輪荷重
まずは基本中の基本の、乗車ポジションです。
下りは、地球の引力の法則からしても、普通に走ると前輪荷重になってしまいます。これを意識的に後輪荷重へと移動させます。
そのために、
後ろ乗り
をします。
具体的には、
下ハンを握って!
サドルの後ろに!
乗ります。
腕を伸ばして、おヘソを後ろに引くイメージです。
下ハンを握るのは、一見姿勢的にしんどいような気がしますが、ハンドルバーを上から押さえつけることなく、それでいてバーをしっかりと握ることができるようになります。
また、ブレーキブラケットを握る場合に比べて、数センチは後ろを握ることになりますので、その分、サドルの後ろに乗りやすくなります。
上ハンを握った時と、下ハンを握った時は、その前後位置にこれくらいの差が出ます。
この長さの分、お尻も後ろに引くことができます。
後ろ乗りをして、後輪にしっかり荷重をかけておくと、ハンドリングの自由度も上がりますし、後輪の制動力もアップします。
2. ブレーキング
下りのブレーキングのポジションですが、下ハンを握り、人差し指だけをブレーキレバーにかけます。いわゆる「ワンフィンガー」です。
指一本の力だけで、ブレーキレバーを手前に引きます。
接地面積の少ないロードバイクのタイヤは、人差し指1本でも少し力を入れて握ると、タイヤがスキッドします。
ワンフィンガーでもじゅうぶんに減速させることができるし、むしろ指一本だけのほうが繊細なブレーキングが可能です。但し、制動力の落ちる雨の日は「ツーフィンガー」とします。
傾斜のきつい下り坂では、ブラケットは握りません。後ろ乗りができなくなるので、前輪荷重が抜けず、機敏なハンドリンが難しくなります。
また、ブレーキをかける時に、どうしてもハンドルを上から押さえつけるようになるので、ますます前につんのめったようなブレーキングになります。微妙な速度コントロールもしにくいです(-_-;)
次に、減速するタイミングですが、これはコーナーの手前です。
コーナリング中の車体がバンクしている時は、原則としてブレーキはかけません。オーバースピードで突入してしまい、慌ててブレーキをかけると、ロクなことはありません。
アールのきついコーナー手前には、ペイントや標識があるので、このような場合は特に大きく減速をしておきます。
後輪ブレーキで大きく減速し、前輪ブレーキで微妙な速度コントロールをして、コーナーに入っていきます。
重要なことは、
コーナーの手前でじゅうぶんに減速
しておくこと。
先が読めないコーナーでは、特にこれを意識して、車体が安定している直線部でしっかりと速度を落としておきます。
その状態でコーナーに入ると、腕や肩の力が程よく抜けて、体重移動もスムースに行え、スパッとコーナーを駆け抜けていけますよ!
3. 外脚荷重
コーナーの外側(アウト側)のペダルを下死点におき、これに荷重をかけます。ここに荷重をかけることにより、タイヤをグリップさせる力である「コーナリングフォース」を高めることができます。
この時、内側(イン側)のペダルは、当然のことながら上死点になります。すなわち、こちら側の膝は、大きく屈曲している状態です。
そしてこの力が抜けている内側の膝を、イン側に振って、重心移動のきっかけに使っていきます。
4. 頭の位置
頭の位置は、「超」が付くほど重要です。
基本の位置は、以下の2点です。
地面と垂直に
コーナーの出口に向ける
まずpoint1ですが、コーナーでは、バイクのバンクに伴い自分の身体もバンクします。この時、頭も同じように傾けてしまうと、視界が傾き、平衡感覚や速度感覚が微妙に狂い、にわかに恐怖心が起こります。
常に頭を地面と垂直に起こしておくと、バンク角の深さを容易に推し量ることができるし、視界も広いので、落ち着いてバイクコントロールができます。
次にpoint2ですが、これもすごく重要なことです。
バイクは視線が向いた方向に走っていくという、人間の本質的な機能に基づいた挙動をします。この私たちが持っている能力を最大限に活かすため、首をひねって、無理やりにでも頭をコーナーの出口に向けるのです。
これは効果抜群の、コーナーリング時のコツです。
コーナーで車体が膨れていったとき、思わず膨れた先の路面を本能的に見てしまいますが、すると、この行きたくない方向にバイクも走っていくのです。
だから、強く意識して、頭(視線)はコーナーの出口(目指す方向)に向けるようにしましょう。
5. 肩の位置
肩の位置ですが、可能な限り、地面と平行を保ちます。これを意識して行うことにより、上体の重心移動もやりやすくなります。
肩の前後位置は、コーナー内側(イン側)をやや前に押し出します。これをするとイン側の腕や肘にゆとりが生まれ、上体もリラックスできて、その結果重心の左右移動もスムースにできるようになります。
さいごに
私はロードバイクも好きですが、モーターバイクも大好きです。
ここに紹介したロードバイクのダウンヒル時のコツは、モーターバイクでのコーナーを、少しでも軽快に走り抜けるために、いろいろと練習して身に付けてきたことです。
車体が軽く、取り回しも楽なロードバイクにおいては、通常の練習走行では、さほどシビアなコーナリングテクニックがなくても、サドル荷重の重心移動だけで普通に曲がれてしまいます。
ところが過酷な条件、すなわちレースであるとか、ダウンヒルとかであれば、速度域の高いモーターバイクでのコーナリングテクニックが、かなり役に立ってくれます。
とはいえ、タイヤの接地面積はロードバイクとモーターバイクでは全然違いますので、無理は禁物です。
少しずつ練習を重ねて、細いロードタイヤをスキッドさせることなくダウンヒル時のコツを会得していけば、どんな道においても、安全で楽しいライディングテクニックが身に付いていくことは間違いありません。
本記事が、あなたの安全にお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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