ブレーキオイルの交換方法!自転車はどうする?


自転車用の油圧式ディスクブレーキですが、普及してきましたね♪

私は3年前から、シマノ製の油圧式ディスクブレーキを使っているのですが、今回初めて、ブレーキオイルを交換しました。

交換の方法は、自転車もバイクも車も、基本的な手順は同じで、いくつかのポイントさえ外さなければ、誰でも安全かつ簡単に交換できます。

一見、難しそうに感じるメンテナンスですが、DIYでスキルを習得しておくと、トラブル発生時の対応力が付き、結局それが安全性につながります。

費用的にも、自分でやれば節減効果の高いメンテナンスですので、本記事を参考にされて、ブレーキオイル交換のスキルを習得されてください。

例としてシマノ製ディスクブレーキで説明していますが、どのメーカーでも、同じ手順で実施していただけます。

それでは、スタートです。

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準備するもの

当たり前のことですが、ブレーキオイルは準備します。これは、自転車専用品がありますので、メーカーの指定に従います。

私の場合は、シマノ製品ですので、シマノ純正「ミネラルオイル」となります。大手のショップであれば、普通に販売されています。

中身はこんな感じ。
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オイル本体と、取扱い説明書、排出用の樹脂チューブの3点セットです。

 

少し話がそれますが、驚くべきことは、これの価格です。

価格が安いことでは定評がある「ウエムラパーツ」で買ったにもかかわらず、なんと!1,170円(税別)もしました!

いやはや、オイルやフルード類は化粧品と同じで、いわば「水もの」ですが、私の中のブレーキオイルの価格基準を、とんでもなく超越しとります(◎_◎;)

というのは、私はバイク(モーターサイクル)もメンテが好きなのですが、あのシビアな性能が求められる、バイク用ブレーキフルードの10倍以上の価格です。

ガソリンと較べると、150倍以上の価格です(^▽^;)

 

写真左は、ホンダ純正のブレーキフルードですが、500ml入りで、1,081円です。

対するシマノ製は、その1/10の容量の50mlで、1,170円です。
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成分といえば、バイク用は「ポリエチレングリコールモノエーテル」という、高沸点のハイテクフルードですが、シマノ製は「鉱物油」です。

えっ?鉱物油って、要するにミシン油じゃないの・・・? なんてことは、ないと思いますが。。。

 

すいません、ぼやいてしまって(笑)

それくらいの価値がある、すんばらしいオイルだってことを言いたかっただけです^^

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必要な工具類

工具類としては、シマノ製の場合、以下の4点があればオーケーです。

  1. 4mmアーレンキー(六角レンチ)
  2. プラスドライバー
  3. 7mmのソケットと、ラチェットレンチ
  4. 7mmのスパナ

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7mmというサイズが、少し特殊ですので、手持ち工具の確認の必要があります。

3のソケットとラチェットレンチは、無くても作業はできますが、できれば、揃えておきたいツールです。理由は後述します。

 

上記以外では、抜いたブレーキオイルを受ける、袋か容器を準備します。
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私は、ちょうど適当な大きさの洗ビンがあったので、それを使いました。

ここは、ビニール袋などをホースにしばりつけておいても大丈夫です。

 

ホイールを外して作業すると、ローターにオイルなどが付かずに具合がいいのですが、ホイールを外すとすれば、スペーサーが必ず必要になります。
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スペーサーは、ブレーキシステムに付属しているはずです(右の黄色いスペーサーは、ブレーキパッド交換時用です)。

 

あとは、メンテナンススタンドや、ハンドルを固定するヒモなどがあれば便利です。
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ブレーキオイル交換方法

では、実際に行う作業手順を、写真中心で説明します。

 

1.ホイールを外し、ローターの入るすき間にスペーサーをかます。

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これを入れないままで、ブレーキレバーを握ると、ピストンが飛び出して、厄介なことになりますので、ご注意ください。

 

 

2.ハンドルを固定し、リザーバータンクを、地面と水平にする。

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ブレーキレバーのブラケット部分のボルトを緩め、全体を持ち上げて地面と水平にします。

 

 

3.リザーバータンクのふたと、ふたとセットになっているダイヤフラムを外す。

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ふた一式を外すと、タンクの中のブレーキオイルが見えます。

無色透明で、まったく汚れていませんが、まあここまできたら交換します(^^;

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4.ブリードニップルに被せられている、ダストキャップを外す。

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キャリパー側の操作となります。

汚れ防止のために付けられている、小さなゴムキャップです。スパナを掛けるのに邪魔になりますので、外してしまいましょう。

 

 

5.ブリードニップルを少し緩めてまた軽く締め、ホースを差し込む。

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ブリードニップルは、きつく締まっているので、小さなスパナでは緩められないか、あるいはニップルのカドをなめてしまう可能性があります。

ここは、力を入れることができるラチェットレンチを使いたいところです。

ブレーキオイルに付属のホースは、ブリードニップルにピッタリのサイズですので、押し込むだけで、落ちることはありません。

 

 

6.ブレーキレバーを、数回シュコシュコと握り、かたくなったところで軽く握っておく。

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ここからいよいよ、交換作業はヤマ場を迎えます。

右手(片手)でブレーキレバーを握ったまま、左手(もう一方の手)で次の7項の作業を行います。

 

 

7.レバーを軽く握った状態で、スパナでブリードニップルを少しだけ緩める。

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ブリードニップルが緩んだ瞬間に、ブレーキレバーがスコンと動き、ワンストローク分のブレーキオイルが、ホースのほうに抜けてきます。

 

 

8.レバーを握りきったところで、素早くブリードニップルを締める。

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右手のレバーは握ったままで、左手に持ったスパナで、ブリードニップルを締めます。

ここでは、それほど力を入れて締める必要はありません。

 

 

9.リザーバータンクのブレーキオイルを補充する

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下から排出された分だけ、リザーバータンクの油面が下がるので、その分のブレーキオイルを、リザーバータンクに補充します。

色が赤いので、きれいですね♪

 

 

10.上記の6から9を繰り返す

ブレーキオイルの交換の理屈はいたってシンプルで、

  • 上(リザーバータンク)から入れて
  • 下(ブリードバルブ)から抜く

これだけのことです。

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11.何度か繰り返すと、下から抜けてくるオイルが赤くなってくる。

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この時点で、ほぼブレーキライン中のブレーキオイルが入れ替わったと考えていいです。

今回は、ブレーキオイルの色の変化で、入れ替わったことが分かりましたが、ブレーキオイルが無色の場合は、メーカーの定める規定量をつぎ込むようにします。

 

 

12.リザーバータンクに、めいっぱいブレーキオイルを入れる。

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基本的な考え方として、リザーバータンク内には、ぎっしりとブレーキオイルを詰めます。

車やバイクのように、油面の上限を示す線はありません。

 

 

13.ブレーキオイルをあふれさせながら、ダイヤフラムを乗せる。

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自転車用のブレーキオイルは、車用やバイク用とは違い、塗装面などを腐食させることはない、とのことです。

ですので、ジャブジャブあふれさせても大丈夫です。

 

 

14.ふたを乗せて、ネジで固定する。

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この時にまたブレーキオイルがあふれ出しますが、気にせずに取り付けてしまいます。

 

 

15.ホースを抜き、ブリードニップルをしっかり締める

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ブリードニップルですが、これは緩むと大変です。ブレーキオイルが漏れて、ブレーキがすっこ抜けます。

この部分の、シマノの推奨する締め付けトルクは、4-6N・mですが、これはネジ径に対しては、かなり大きなトルクだと言うことができます。

ラチェットレンチなどの力のかけれる工具を使って、しっかり締めます。

 

 

16.ブリードニップルの中に残っているオイルを吹き飛ばし、キャップを付ける

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ブリードニップルの中に残っているブレーキオイルや、キャリパー周辺についたオイルをブレーキクリーナー(注)などを使って、吹き飛ばしておきます。

(注)「パーツクリーナー」は樹脂パーツやゴムパーツに対して攻撃性があるものもありますので、「ブレーキクリーナー」を使用しましょう。

 

以上で、作業は完了です。

後輪側もまったく同じ手順で、ブレーキオイルの交換を行います。

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押さえるべきポイント

全体の交換作業を通じて、大切なポイントを整理しておきます。

大切なポイントは、ひとことで言うとエアを噛まさないことですが、そのために押さえるべきポイントは、以下の3点です。

 

ブレーキライン内にエアを吸わせない

これがもっとも重要なポイントです。

ブレーキラインにエアが入ると、ブレーキのタッチが、スポンジ―(フワフワした感じ)になって、ブレーキ性能がカタ落ちします。

エアが入り込む入口(ポート)は、たったひとつしかありません。

下の写真の、矢印の部分がポートです。

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ポートからエアを吸わないように、常にリザーバータンクにブレーキオイルが半分以上、満たされている状態を保つようにしましょう。

 

ブリードバルブは、開けっ放しにしない

ブリードバルブを開けっ放しにすると、ここから気泡がブレーキラインに侵入してしまいます。

ブレーキラインに圧力をかけた状態で、ブリードバルブを一瞬緩め、ブレーキオイルを押し出した次の瞬間には、素早く締めます。

この「瞬間!開け閉め作業」をマスターしましょう。

 

リザーバタンク内にエアを残さない

これは自転車のディスクブレーキだけの特徴と言える部分です。

リザーバータンク内に空気だまりがあると、自転車を横にしたり、倒立させた時に、ブレーキラインにエアが入り込む可能性が出てきます。

一旦、ブレーキラインに入り込んだエアを抜くのは、かなり手間ですので、ダイヤフラムを取り付ける時は、ブレーキオイルをケチらずに、満タンにしておき、ダイナミックにあふれさせましょう。

 

上記3点さえ注意して、エアの侵入を許さないようにすれば、快適なタッチは損なわれません。

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さいごに

ブレーキオイルの交換作業は決して難しいものではなく、時間的には、準備や後片付けを含めても1時間もあればじゅうぶんです。

交換時期については、特に指定はありませんが、常識的に考えて、3年に1度くらいが望ましいのではないでしょうか。

自転車の場合は、車やバイクに較べると、キャリパーの発熱は少ないので、ブレーキオイルの劣化も遅いはずです。

実際は、もっと交換時期を伸ばしても大丈夫なのかもしれません。

 

私のようなメンテ好きにとっては、ディスクブレーキの状態のチェックも兼ねて、楽しみながら行うことができる作業なので、交換後の満足感は高いです。

いや、この満足感がすべてかも知れません(笑) だって、ブレーキの効き味は、交換前後で同じですから。

ちなみに、使用したブレーキオイルの量はわずかで、ボトルの約半分でした。
交換費用は、オイル代の実費として、500円くらいでしょうか。

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ディスクブレーキにおけるブレーキオイルは、単に圧力の伝達をするだけのもので、ブレーキシステムの内部で循環はしません。劣化するのはキャリパー内のオイルだけです。

ここだけを交換するだけなら、さらにブレーキオイルが節約できるかも。

何といっても、シマノのミネラルオイルは超高級オイルですからね^^

残ったブレーキオイルを大切に保管して、次回は、また3年後に作業を楽しみたいと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

記事内容で、わかりにくところがあれば、この下の「コメント記入欄」よりお尋ねください。ご意見・ご感想も大歓迎です。お気軽にお寄せください。

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8件のコメント

  • タクマ

    初めまして、ディスクブレーキの補修部品の画像を探して居たら、この記事にたどり着きました。
    タクマと言います。

    自分の使ってるブレーキはシマノの片落ちのDeole LX(ST-M 585&BR-M 585)なのですが、ミネラルオイル高いですよね・・・。

    片落ちで保証も無いので自己責任でジャッキのミシン油を使ってるけど、別に問題は無いですね。

    本当にその金額の差は何だと言いたいですね。

    精油業者から買っている分のマージンを上乗せしているのでしょうが・・・。

    因みに、別件のパッド交換の記事でローターの厚みを計っていましたよね?シマノの場合は厚さ2.0㎜で1.5㎜になったら交換となっています。

    既に知っているかもしれませんがその場合はお許し下さい。

    • 管理人

      タクマさん、こんにちは。
      コメントいただきありがとうございます。
      (コメントがすぐに表示されず、ご迷惑をおかけしてすいませんでしたm(__)m)

      ミネラルオイルは、「ブランド料」がたくさん入ってるんでしょうね(^^;
      ジャッキのミシン油で問題がないことは、とても納得できます。

      自転車のブレーキオイルの場合、樹脂やゴムパーツを侵さないオイルであれば、
      何でもいいような気がします。

      個人的には、ATF(オートマチックトランスミッションフルード)が、
      一番適しているのではないかと思ってます。
      色も、同じ赤ですしね。一度挑戦してみますね♪

      ローターの厚みの件は、規格を教えていただき、ありがとうございます。
      分かってませんでした(^▽^;)
      私のローター、前後とも寿命を迎えてますね(汗)
      交換したら、また記事にしようと思います。

      いろいろと、ご意見いただき、ありがとうございます。
      他の記事でも、お気付きがあれば、せひ、また教えてください!

  • トシ

    同じオイルが1Lボトルで1500~1700円程度なのでオイル自体が物凄い高いわけでは無いかと思います。

    • 管理人

      トシさん、こんにちは。
      コメントいただきありがとうございます。

      >同じオイルが1Lボトルで1500~1700円程度なので
      確かに、そういうことですよね。

      オイルが多くても少なくても、包装や出荷には一定の費用がかかるわけですから、容量の小さいものは相対的に高くなってしまうんですね。

      貴重なご意見をいただき、ありがとうございましたm(_ _)m

  • わたなべ

    シマノのブレーキオイルの交換を検索していてたどり着きました。写真も多く、とてもわかりやすくてイイですね!シマノは初めてなので、助かります。
    ただひとつ、気になったことがあります。
    オイル交換・エア抜きの際はブレーキパッドを外して、黄色い方の分厚いスペーサーをピストンの間に噛ませてやるのが正しいやり方だと思います。なぜなら、オイルが漏れた場合にブレーキパッドにかかってしまうのを防ぐためです。
    ちなみに、赤いスペーサーは、車輪を外して運ぶ時に噛ませるやつです。
    もしすでにご存知でしたらご容赦くださいm(_ _)m

    ほんと、MTBのブレーキオイルは高いですね!

    • 管理人

      わたなべさん、こんにちは。
      コメントいただき、ありがとうございます。

      >黄色い方の分厚いスペーサーをピストンの間に噛ませてやるのが正しいやり方だと思います。
      →うわー、ほんとうですね(汗)

      今、購入時に付いていた取扱説明書や備品を引っ張り出してみると、黄色の消しゴムのような形をしたスペーサーが入っていました。

      教えていただき、ありがとうございます。

      後ほど、もう少し詳しく調べてから記事を訂正させていただきますね。

      こうして教えてもらえたことに感謝、感謝です。

      またお気づきのことがあれば、ビシバシご指摘ください!

  • bok

    SRAM系のオイル交換はやったことがあったのですが
    シマノ系のはやったことがなかったので情報を探して
    ここに行き着いたんですが、一点だけまずそうなこと
    書いてたのでコメントさせていただきます。

    私も以前ミスってたのですが、キャリパーの清掃にパーツクリーナー
    はまずいみたいです。なぜかっていうとゴムを劣化させてしまうので
    シリンダーにかかるとシリンダ内のゴムパッキンを劣化&硬化させて
    しまい、パッキンの寿命が大幅に減って最終的にはオイル漏れの
    原因になっていまうので、ブレーキクリーナーを使うのがいいそうです。
    ブレーキクリーナは、パーツクリーナーに比べその点を考慮して
    ゴム系パーツの劣化が少ない成分になっているそうです。

    • 管理人

      bokさん、こんにちは。
      貴重なコメントをいただき、ありがとうございます。

      おっしゃる通りで、パーツクリーナーやキャブレタークリーナーなどは避けておくべきですね(汗)

      とりわけ洗浄力が強力な製品は、副作用として高分子製品の変質を誘発する可能性が高まると思います。

      記事は修正し、注釈も付けて誤使用に至らないように配慮しました。

      教えていただき、感謝しております。

      ありがとうございました!

1件のトラックバック

  • ブレーキオイルの交換方法!自転車はどうする? | 彩 on your world | 最新ニュース
    2015年4月23日 5:37 AM

    […] るブレーキオイルは、単に圧力の伝達をするだけのもので、 ブレーキシステムの内部で循環はしません。 [紹介元] ブレーキオイルの交換方法!自転車はどうする? | 彩 on your world […]

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